「出でば」を「山上複有者」――ここは「山上複有者(さんじょうまたやまあれば)」としてくれたほうが利用者に親切でしょう。つまり、「山上複有山(さんじょうまたやまあり)」は山の上にまた山があるので「出」という文字になる。山+山=出ですね。これに「者」がつく。「出者」ですね。「者」はさきほどの「者(ば)」です。したがって「山上複有者」は「出でば」となる。
戯書で、ぼくがいちばんびっくりしたのは「馬聲蜂音石花蜘蛛」です。橋本進吉ーー大野晉先生の先生ーーの著書で知って、ほんとうに驚いた。実は學生時代にこれをしって以來、萬葉集には口を出さないことに決めたのですが、漢字の話をするとなると、どうしても萬葉集にさかのぼらなくてはならなかったのです。
なお、世界大百科事典(平凡社)に、山田先生の執筆された「萬葉仮名」の項目があります。また、萬葉仮名から生まれた平仮名、片仮名については、同じく世界大百科事典に大野晉先生の執筆された「仮名」の項目があります。いずれも明解な文章です。ぜひお読みいただきたいと思います。
出者兩山疊,或者這里說成山外有山,可以大家會更容易理解一些。也就是說,山上面還有山,就是出這個字。山+山=出,再加上“者”這個字,湊成了出者。這個“者”在這里的意思,是假如、可能的意思,所以是出者兩山疊。
說起戲文,可能大家第一個想到的會是“馬聲蜂音石花蜘蛛”。這是我從橋本進吉——也就是大野晉的老師,他的著作中知道的。即使從學生時代到現在,那么多年的文學修養積淀下來,我也沒辦法在日常生活中將萬葉集的內容脫口而出,雖然說我認得許多的漢字,但這跟讀懂萬葉集之間并沒有很大的關系。
在世界大百科事典(平凡社),由山田先生主導的萬葉假名項目已經正式成立。從萬葉假名中衍生的平假名、片假名等相關的內容,也由同樣參與世界大百科事典編纂的大野晉先生主導,命名為“假名”的項目。這是一篇非常好的著作,如果有機會的話,希望大家都能去看看。